ゆかりの床知識
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こんにちは。床診断士のゆかりです。
冬になると気になる静電気。じつは、この静電気が製造現場では大きな問題になっていることをご存知ですか?
今回は、床から考える生産施設の静電気対策について解説します。
電気には静電気と動電気の2種類があり、電気が物体の中でとどまっている状態や物体に溜まっている電気を静電気といいます。
ドアノブに触れた瞬間にパチっと感じる痛みは、人体に溜まった静電気が一気に放出される「静電気放電(ESD)」によるものです。
ちなみに、雷も静電気による現象です。積乱雲に含まれる氷の粒同士がぶつかり合って静電気が発生し、溜まった電気が地上に一気に放出されるのが落雷です。
ドアノブに触れて痛みを感じる時の電撃はおよそ3000V(ボルト)ですが、雷が落ちる瞬間の電撃は、なんと数千万V以上といわれています・・・!
静電気は、2つの物体が接触する際に物体同士で電子の移動が起こることによって発生します。発生した静電気が溜まっている状態が「帯電」です。
私たちが日頃認識している静電気は摩擦や接触で発生することが多いですが、そのほかにも剥離、流動、噴出、衝突など、じつに様々な場面で静電気が発生しています。
例えば、生産現場では次のような場面で静電気が発生します。
静電気は、半導体などの電子デバイスを扱う製造現場では無視できない問題です。なぜなら、静電気が原因で電子部品の破壊や不具合を引き起こすことがあるからです。
ドアノブに触れてパチっと痛みを感じる時の電撃はおよそ3000Vですが、半導体はそれよりもはるかに小さい100V程度で破壊するといわれており、人が感じないような微弱な静電気であっても、徹底した対策が必要です。
静電気対策のポイントは、「静電気が溜まらないように流れやすくする」ことです。
静電気の関係を示す計算式として、帯電量=発生量−拡散量という考え方があります。
つまり、帯電量を少なくするためには「静電気の発生を抑えること」と、発生した静電気を「速やかに拡散させること」が重要というわけです。
ここでは、基本的な2つの静電気対策をご紹介します。
電子デバイスを扱う生産施設では、基本的な静電気対策に加えて「IEC規格」の規定に沿ったメンテナンスも必要です。
IEC規格とは、IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)が定めた電気・電子技術関連の国際的な規格です。
静電気による製品の損傷を防止するための「ESD(静電気放電)管理」について細かく定められており、半導体、集積回路などを扱う生産施設での静電気対策ではこのIEC規格に沿った環境に管理することが求められています。
IEC規格によるESD(静電気放電)管理の規定では、静電気の帯電を100V以下に保つ区域を設定し、その区域で使用する衣類や履物などのアイテム、また床に対しても電気抵抗値の範囲などが細かく定められています。
こうしたESD管理には、専門の教育・訓練を受けた「ESDコーディネータ」による管理や保守が義務付けられています。
絶えず什器や人間と接する床の静電気対策は非常に重要です。ESD(静電気放電)管理に適した導電性のある床材を選びましょう。
導電性能のある床材を選ぶことで、人体帯電を低く抑えることができます。
また、静電気対策を行った後は定期的な電気抵抗値の測定を行い、IEC規格に沿った対策ができているかチェックすることも欠かせません。
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床の静電気対策には、床を熟知した床診断士へ相談するのがおすすめです。
厚生労働大臣認定資格である床診断士は、床の改修工事に必要な知識を有する床リフォームのスペシャリスト。
床診断士がIEC規格に沿って電気抵抗値の測定を行うほか、床の状態を調査して総合的に診断し、メンテナンスや最適な床づくりについての提案を受けることができます。
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